「子宮筋腫岡山UAEセンター」の外観は…金沢の街中、片町の裏通り辺りにありそうな懐かしい風貌だった。よし、それでは参りましょうか。わ~、また緊張してきた。
おそるおそる扉を開けると…玄関までは少し昭和のにおい(?)がするけれど、中はスッキリしていて明るい感じ。受付の方から「石川はお天気どうですか?」とか「今朝は何時に出てきました?」とか声をかけてもらい緊張が和らぐ。問診票を記入し終えて診察を待っていたら、診察室からさっき篠﨑クリニックでみかけた方が出てきた。私なんかよりずいぶん若いようだったけれど…ここに来るということは筋腫があるってことでしょ……。う~ん、彼女の年齢を考えると私は違うところでいっぱい悩んでいるんだろうね。
そうこうしているうちに、婦人科の診察に呼ばれる。ドキドキ。婦人科は吉野内先生です。石川県からここに来た人は今までに5、6人ほどで珍しいらしい。遠いところから来ているのでとりあえずお天気の話から。前の週は大荒れであられ混じりの雨の日もあったけどいくら北陸とは言えさすがに11月の初めにはまだ雪は降りませんよ~。
それでは本題にはいります。ここへやってくるまでの経緯について尋ねられたので、職場検診の血液検査でひっかかかる→近所の産婦人科で子宮筋腫と診断され、膣式全摘術を勧められる→別の婦人科で小さい筋腫がたくさん集まって子宮の大きさが7.9cmになっていると判明→悪性でないのに全摘することに抵抗があり自分で探してここへやってきたと話す。「子宮がそれほど大きくなっていないから膣式でとれるってことですか?」と聞かれてFクリニックという病院名を告げると、何かピンと来たご様子?そのほか、28歳の時子宮内膜症でホルモン治療を受けたことも話す。
一通り話が終わり次は内診。そして先生から「いっぱいあります。」と一言。「(足に)浮腫があるけれど貧血のせいかなあ。」とも。実は前日までTDRで2日間めいっぱい歩き回った疲れが出ていたのかもしれないけれど、それは言えなかったなぁ…。
診察室に戻り、この後先生から詳しく説明をしてもらうんだけど、パソコンに取り込まれたMRIの画像を見せてもらってビックリ!!
小さい筋腫がいっぱい集まっているとは聞いていたけれど、今までのエコー画像ではよく分からなかった自分の筋腫があまりにはっきり写っていて目の前(いや、本当は自分のお腹の中)の現実にがく然とする。先生曰く、とにかく筋腫がいっぱい、30~40個ぐらいはあるって。子宮の四方八方にびっしり詰まっている様子はまるでカエルの卵みたい…。私ってばこんなものお腹で育てていたの~!?大きさ的にはやっぱり子宮全体で8cmぐらいになっているとのこと。
先生はまず子宮筋腫という病気について詳しく説明してくれた。そういえば医師から子宮筋腫のことをきちんと説明をしてもらうのはこれが初めてかもしれない。筋腫はできる場所によって粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫などの種類があり、私の場合は粘膜下と筋層内、特に筋層内にたくさんできていて、また筋層内でも比較的内膜に近いところに飛び出した形状のものもあるとのことだった。
子宮という臓器は筋肉でできていて妊娠した時に胎児が育つのにあわせていくらでも大きくなるように、それが筋腫だったとしても同じように大きくなれるんだって。ああ、そうか、子宮ってそういう臓器なのね。
そして「子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓療法に関する説明書」に沿って話が進められる。ここに来る方は大きな筋腫持ちの方が多いようだけど、私の場合は1個ずつの大きさは問題ではなく過多月経や貧血といった症状があるために治療が必要なのだそう。子宮内腔に飛び出している粘膜下筋腫がいくつかあってこいつらのせいで過多月経が起こり貧血になってしまっているわけか…。
子宮筋腫は子宮動脈から栄養を得て育っているので、簡単に言えばその子宮動脈をふさぐことで血流を絶ち筋腫を壊死させてしまおうというのが子宮動脈塞栓術(UAE)という術法。血流を失った筋腫は20分ほどで壊死してしまい、その後復活することはないらしい。
粘膜下筋腫に対してはUAEの効果はかなり高く、私のように粘膜下に筋腫があって多発性の場合には効果はすごく期待できるので、術後最初の月経時からその効果を実感できるはずと言われうれしくなった。
一方で術後の感染症の可能性も高めなんだそう。というのはUAEによって壊死してしまった筋腫には免疫力がないので、外部からの雑菌に触れ易い粘膜下筋腫に一旦感染が起きるとそれに近接した壊死筋腫に次から次へと感染が広がっていくためで、それ故感染症のリスクも少し高くなるというような話だった。
仮に感染を起こしたら…感染した筋腫は全て出してしまわないといけないのでその時は消毒だったり洗浄だったりの処置が必要だけど、毎回岡山まで通うわけにはいかないので地元の婦人科でやってもらうこともあり得るとのこと。それをF先生が受けてくれるかどうかは分からないが、石川にもUAEのことを分かってくれる先生が1人もいないということはないでしょう、なんて言われると逆に少し不安になってしまった。
ただ、今までに私と似たようなタイプの方で実際に感染を起こした方は1人だけなんだそう。これって少ないってことでいいのかな?感染した筋腫は全部出し切ってしまえばキレイな子宮に戻るようなのでのでその時はその時だよね。
感染とは関係なく、今ある筋腫はおそらく大豆程度の大きさに縮小するから、現状では絶対あり得ないけれどUAE後は子宮内がスッキリして妊娠する可能性もあるんだって。今更そんなこと考えてもなかったけれど、子宮を残すということはこういうこともあり得るということなんだなぁ。
子宮動脈を塞栓することで術後必ず起きるという下腹部の激痛に対してその鎮痛方法について説明を受けるが、これが先生の口から出た言葉は「この世のものとは思えない痛み」だって。えーっ、どんな痛み?想像がつかない…。UAE体験者のブログでもみんながみんな「痛い」と書いているからにはやっぱり痛いんでしょうね。一体、どんなくらいのもの…?痛みには結構強い方じゃないかと思うので耐えられるような気もするんだけど…う~ん…
そして、45歳を境に術後無月経になる確率が高くなるという話を聞いた。45歳ってまさしく自分がそのボーダーライン上にいるってことか?でも全摘すれば当然無月経になるわけだから、もしそうなったとしても自分が納得して受けた治療の結果なら受け入れられるかな。
それから、子宮が後ろに倒れているね、とも告げられる。これまで何度も産婦人科での診察を受けているが、これは初耳。今までこんなこと一度も言われたことがなかったのでこの言葉にも『えっ!そうやったん』って結構驚いた。
今まで出会ってきた産婦人科の先生はみんな早口でまず話が全部聞き取れないことが多く、何かこちらから聞きたいと思っていてもその半分も言い出せないようなことが多かったが、吉野内先生は穏やかな口調でゆっくりとこちらが聞きたいと思っていたことを全部説明してくれた。「何かお聞きになりたいことはありますか?」と聞かれても「う~ん…大丈夫です。」もうその場で思いつくような疑問は出てこなかった。